JOURNAL

創業までの流れ

こんにちは。行政書士の岩下綾子です。

こちらは、障がい者又は障害児向けの福祉サービス事業を今から立ち上げたい人に向けてのWEBジャーナルになります。

最初に自己紹介をさせていただきます。
私は、2016年12月より行政書士として活動しています。オーガニックの認証機関で働いていましたので、最初はオーガニックの世界を広げていくための活動ができないかな、、と思い、農家さん向けサービスについて掘り下げていました。

ところが、偶然に関わることになった障害福祉サービス事業者をとおして障がい福祉サービスの制度を知り、また、障がい者と関わり集まりに参加するうちに、自分の今まで生きてきた世界に通じる部分に気づきました。人はジグソーパズルのようにひとりひとり違う形をしているけれど、全体で見るとどれもかけがえのないピースだと思うんだ、と最近お話しした就労移行サービス事業者のサービス管理責任者の人が話してくれました。

障がい者も健常者も同じ人として大切に思いあう世界が実現するよう、障がい者施設の立ち上げと運営をお手伝いしたいと思っています。 事業を始めるにあたって活用してもらえたらうれしいです。   

STEP.1 立ち上げの想いを描き出そう!

最初に一番大切なのは、「障がい者サービス施設を立ち始めたい!それはなぜなのか?何を目指すのか?」などという想いを明確にすることだと思います。これがしっかりと整理されていれば、多くの人の共感を得ることができます。そしてこれから起こるかもしれない困難な出来事を乗り越えていくことができます。そのためにまずあなたの「想い」を整理してみましょう。

STEP.2 情報収集をしよう!

STEP.1で「障がい福祉サービス立ち上げたい!」という想いが明確に整理できました。

それではいったいどうやったら施設が立ち上げられるのでしょうか?ネットで検索してみましょう。

検索キーワード『障がい福祉サービス』と立ち上げようとしている場所を追加して、『〇〇市or 〇〇県 障がい(又は障がい児)福祉サービス 指定申請』と検索してみてください。

ここでのポイントは、中核市、政令指定都市などは〇〇市、それ以外の場所は〇〇県で検索することです。

「障がい者」と「障がい児」でページが分かれていることがあります。読んでもよく分からない時はホームページ(HP)を開いた状態で担当部署に電話をしてみるのがおすすめです。

電話が繋がったら、「事業をはじめるにはどうしたらいいですか?」という漠然とした質問よりも、まずは【自分がどんな人か】、【自分が現在どういう状況なのか】、【役所HP上のどのページを見たら次の手続きが分かるか】などを質問してみましょう。

どこにかけてよいかわかりづらかったり、話を聞いても専門用語が難しくてよくわからないときは、私たち障がい福祉事業を支援する【行政書士】が頼りになることを頭の片隅に置いていてくださいね! 

STEP.3 初回面談を受けてみよう!

障がい者施設立ち上げにおいて、経営資源となる「ヒト」・「ハコ」・「カネ」の準備目安をご存じでしょうか?

行政の仕組みや専門用語の難しさという壁が立ちはだかり、情報収集が大変だと感じることも多くありますが、立ち上げた後の未来を見据えておくことも大切です。そのため、不安材料を前もって取り除くためにも一度行政書士に相談することをおすすめします。ほとんどの行政書士は、初回相談無料となっていると思います。最初に相談に乗ってもらうと世界が開けます!

信頼できるなと感じる行政書士に出会うことがとても大切です。相性のいい行政書士を焦らずじっくりと見つけてください。きっと中長期的に頼れるビジネスパートナーとして、あなたを設立・運営までサポートしてくれると思います。

そして、初回相談では私たちはこのような質問をお尋ねすることが多いです。
1. あなたの福祉に携わった経歴や資格は?(本人)
2. 福祉に携わった経歴、資格を持ったスタッフ候補はいるか?(人材)
3. 施設候補の不動産はあるか? (物件)
4. 法人格を持っているか?(行政)
5. 資金はあるか?

これらの経営資源となる要件は事業の柱となるため、万全の準備が必要です。みなさんも不安に感じてらっしゃるだろう【5. 資金】については、最低6カ月分の運営資金を持っておくことが安心につながると思います。

保険請求の入金は2か月遅れで入ることや、初月から黒字になるほどの利用者数が確保できないことを想定すると、準備できる資金があればあるだけ安心ではありますが、最低でも6カ月分というのをひとつの基準にするとよいかと思います。そして4カ月で黒字化を目指していきましょう。(黒字化になる収支シュミレーションについてはこちらからお問合せください

人材と物件の要件が問題なければ、80%はクリアしているという認識で大丈夫でしょう!

役所の担当が【介護保険】の事業所と言ったら、【高齢者介護】のことです。このように通称と正式名称が違うので、役所の手引きを見ても「ちんぷんかんぷん」になります。「言葉からして分からない!」という方は、無駄な時間や労力を減らすためにもすぐに行政書士に依頼して、サポートしてもらうことをおすすめします。 

STEP.4 法人を設立しよう!

1. 法人の種類

障害福祉サービス事業を始めるには、法人資格を取得する必要があります。
法人といってもさまざまな種類がありますが、どの法人を選ぶのが適切なのでしょうか。
法人には大きく分けて、①営利法人と②非営利法人があります。

つまりこの違いは、①利益追求するのか②利益を追求しないのか、という違いです。
よくある反応は、「②非営利法人は利益を得たらいけないのか!?」と思われるかもしれませんが、どちらも利益を得て、従業員にしっかりとお給料をお支払いして、継続して運営活動をすることが期待されています。異なる点は非営利法人は利益を配分できないというところです。株式会社などの営利法人は株主に利益を配当として渡す事ができます。

法人というと聞き馴染みがないかもしれませんが、独立して権利義務を持る【法で作られた人】という認識をしてみましょう。そうすると、どのような人に育てていくのかを考える必要があります。

はじめに、頭脳にあたるのが役員です。話し合いを通して、意思決定をする役割があります。複数人いる場合もあれば、1人役員で運営できる法人もあります。 

運営のしやすさという観点でいうとやはり株式会社又は合同会社がいいでしょう。次に一般社団法人が運営しやすいと思います。業界を変えていきたい!っていう思いなどあるなら一般社団法人があっていると思います。さらに、仲間が10人以上いる場合で、公益団体として、世の中に働きかけていきたい思いが強いならNPO法人(特定非営利活動法人)があっていると思います。(多少ですが、福祉分野として制度の優遇や助成金などの対象として一般社団法人とNPOのみに限定される場合があります)

2006年の法改正以前は、非営利法人しか施設を運営することはできませんでしたが、現在では営利法人にも門戸が開放され、多くの株式会社などの営利法人が障がい者・福祉業界に参入しました。

昔は、「営利法人が福祉事業をまともに運営するはずがない!」という先入観があったと言う話もあります。先入観が影響して、営利法人で障がいを持った利用者さんを集めにくい地域もあったようです。

しかし、現在は営利法人もしっかりと運営を行い、実績を作っています。つまり、大切なことは本当に良いサービスを利用者さんに提供し、しっかりと利益も生むことです。法人の形態にかかわらず、しっかりと想いを伝え、価値あるサービスを提供していけば、必ず素晴らしい施設・コミュニティになっていくと信じています。 

2. 設立の手続き

法人の種類が決まったら、次は法人の中身に注目します。この法人で何を実現したいのか、事業内容や事業目的を決めていきます。その際、障がい福祉サービスを主軸に事業を展開するのであれば、【定型文言】を使用するのがおすすめです。

よく、「【美容】や【配送】など、障害福祉とは関係のないキーワードが入っていても大丈夫でしょうか?」というご質問を多く受け付けます。 就労継続支援A型事業所を立ち上げる方は、A型事業所以外の業種についての目的が入っていては設立が認められませんので注意が必要です。

それ以外のサービスを主軸として始める方は、他のキーワードを含めても問題はないですが、多種多様な目的が盛り込まれた法人は、利用者さんの視点からは「いったい何屋さんなのだろう?」と不信感につながることがないとは言い切れません。そのため、断捨離感覚をもちあわせる姿勢を大切にすることをおすすめします。

3. 株式会社の例

1.2では法人設立手続きのお話をしていました。
法人の種類を決めて、目的を決めるところまででしたね。
後は法人の種類にもよりますが、株式会社の場合、

・本店住所(法人の本拠地です)
・代表者
・出資額
・役員体
(役員は出資していなくてもなることができます。監事は小さく設立するなら、最初はいなくてもいいと思います。)
・事業期間
設立の月に関係なく、好きな月から1年間と決めることができます。
最後の月(決算月)に会計を締めて、2か月の間に税務署に確定申告をしないといけませんので、忙しそうな月(10月や1月)?は避ける方が無難です。
・定款作成
株式会社、一般社団法人の場合は、定款を作成後に公証役場で認証が必要です。
紙で作成した場合、4万円の印紙が必要になりますが、PDF化した電子媒体で作成する電子定款だと印紙不要です。 公証人に認証してもらう費用が5万円ほどかかります。

株式会社が設立した時点で、名刺を作成することをお勧めします。不動産を探すときなどに名刺があると取引相手に対してこちらのプロフィールを伝え連絡のやり取りなどスムーズになります。さらに、どのような施設を作るのか、といった内容のチラシがあると物件を借りたいときに思いを伝えやすくなります。(不動産を借りるときにオーナーさんに対してぜひ貸してもらいたい、というアピールが必要な時があります) 

STEP.5 人材を探そう!

前回までで主体となる法人はできあがりました。障がい福祉サービス事業を始めるときに当然ながら誰でもはできません。重要な資格をもった人が必要で、障がい者の方達に対しての愛情と理解、経験が重要になります。具体的にはサービスによって次の資格をもったどれかの人がいないといけません。経営者が持っていない時は、雇用すればよいです。

※サービス管理責任者
※サービス提供責任者
※児童発達管理責任者

大まかにいえば、
A)介護福祉士、社会福祉士、精神福祉士、保育士、などの国家資格を持っている人
B)etc.ケア2級などの研修を受けた人、社会福主事任用資格を持っている人
C)高等学校卒業した人
に分けられ、Aは3年、Bは5年、Cは10年の介護の経験を持っている人

さらに基礎研修+OJT(2年)+実地研修を受けると資格がもらえます。他の業種もそうですが、この経験年数というのは時が経過しないとどうやっても調整できないので、今すぐ勉強を頑張っても取れないところがとてもハードルを高くしています。他の人員はサービスの種類によって、資格の有無や人数が変わります。

必要な人員の配置人数の計算は、前年の利用者の人数から計算しますが、初めて立ち上げる時は、定員×0.9が基礎の数になります。ご自分が始めたいサービスの最低限必要な人員の資格要件と人数の把握が大切です。

ここまで人員という言葉で書いてきましたが、一緒に働くスタッフさんは、自分の想いを実現するのに大変大切な協力者です。

新しく雇う場合は、目指す施設の理想の姿、になってもらいたい役割、そして楽しんで働くこと、をお話しして、その人の応募に関しての想いを短い時間でもしっかりと聞いてくださいね。 

STEP.6 事前調査をしよう!

資格者が見つかったくらいで(またはご自分のときも)市町村の状況についてリサーチをすることをお勧めします。

今までも障がい者福祉サービス施設で働いていた方は、感覚的にどこそこの地域は施設が少なそう、、とか、この市は制度が厳しそうだ、、とか、いろいろ感じているようです。人口や人々の流動性(交通の流れ)などの影響も大きいと感じます。施設を建てたい市町村又は都道府県の障害者福祉の窓口に電話をして、その施設が多すぎないか、市が指定をストップしていないか、などについて聞いてみてください。

それから次に調べてもらいたいことは、スケジュールです。

開所したい日を決めたとき、いつまでに申請しないといけないのか、いつまでに内装工事を終え、消防署へ開始届の手続きをしないといけないのか、また事前協議があればその〆切などを確認します。

スケジュールについてはこのようにざっくりと大枠を捉えるといいのかな、と思います。 

STEP.7 物件を探そう!

最初にしっかりと条件を確認しましょう。物件は、その管轄行政によってとても違います。その地域の管轄行政の手引きで確認できます。以下が抑えておくべきポイントです。

◯広さ
個々の部屋の面積が狭すぎないか、全体の広さがひろすぎないか、必要な用途の部屋があるか。

◯建築確認済証の確認
これは管轄行政の建築関係部署で確認することができます。もしない時は、管轄行政によって救済措置があります。だいたいは一級建築士さんの別途確認があればオッケーとなります。

◯明るさ
窓の大きさと部屋の広さから計算式に入れて、一定の数値以上が必要であることもあります。必要な数値がなくても、建築基準法で計算するところの、全面道路と建物全体の高さ、用途地域の係数をかけて計算する救済もあります。

◯消防法の規定の確認
物件によっては、建物全体の他の部屋全てにも自動火災報知器の設置が必要になることがあります。不動産の契約をした後に分かると、大変なことになります。どれくらいの追加設置が必要になるかを管轄の消防署に行って確認することが必要になります。

◯用途変更について
200㎡を越えなければ、建築基準法上の用途変更は必要ありません。が、福祉施設になるということで、各自治体による条例で必要な条件が定められています。福祉課のお知らせには載っていないこともあり、注意が必要です。

◯階数
これは消防法にも絡みますが、大抵は2階までの方が必要な設備が少なくて済む場合が多いです。上の階になると、救助袋という避難のための器具の設置が必要になることがあります。これは設置に80万円程度もかかります。物件によっては、初めから設置されている場合もあります。

◯立地
そして、立地も重要です。送迎の有無にもよりますが、送迎がない時は公共交通機関からの距離が重要です。

◯競合
それから、その地域に同じ種類の施設がどのくらいあるのかを確認しましょう。市から委託されている基幹支援事業所がある時はそちらに問い合わせて需要と供給のバランスがどういう状態なのか確認するのも大切です。

◯気持ちよさ
そして何より、感覚を研ぎ澄まして、その建物が気持ちのよいところか感じて欲しいと思います。

◯オーナーさんの許可
ここにも高いハードルがあります。障がいのある方について、よく知らず偏見をお持ちの方もいます。
特に自分の不動産を貸すとなると、できたら普通の人に、となるから不思議です。

◯不動産屋さんを味方にする
不動産屋さんによって物件の探しやすさは全く変わります。よい営業マンに出会って味方になってもらえたらとても力になります。最初の挨拶の時に、自分たちの事業に対する想いを伝えましょう。営業マンはオーナーさんとの橋渡しをしてくれるとても重要な人です。できたら、その施設の条件についての説明や自分たちの法人についてまとめたチラシを作成して渡す方法もあります。

そしてあなたの協力がかかせません、というメッセージを伝えましょう。物件探し、、私も初めて支援させてもらった時は、何から始めたらよいのかわかりませんでした。ネットで不動産情報を探したり、知り合いの不動産屋さんにお願いしたり。これはいろいろなことに通じることかもしれませんが、、人との信頼関係、ネットワークが重要だと思います。ネットワークがない時は、よい不動産屋さんと、よい物件と出会うまで、何度も心折れずに見つかると信じてトライすることです! 

STEP.8 融資相談をしよう!

あなたがもし資金をほとんど持っていなかったとき、、障害福祉サービス施設の立ち上げは無理でしょうか??

確かに全くのゼロ円だと厳しいかもしれません。その時はなんとか100万円くらいを目指して貯蓄してくださいね。また、80万円くらいあれば、融資にトライしてもいいと思います。その時は、前準備として、やって欲しいことがあります。認定特定創業支援という支援をぜひ受けてください。

現在、起業を応援する取組が各自治体でされています。どの市であっても、市の商工課、商工会議所、政策金融公庫、信金などがネットワークをつくり様々な支援を行っています。地域によって内容は異なりますが、このプログラムに参加するといろいろな特典があります。

① 法人登記の料金が半額になる、(株式会社の場合は15万円が7万5千円に)
② 政策金融の通常融資額の10分の1の自己資金要件がなくなる (これは書いてあるだけ、、の印象が強いですが、、)
③ 金利が優遇される

問合せは市又は商工会議所がよいと思います。『認定特定創業支援について教えてください』と伝えると親切に教えてもらえます。担当者によって違いはありますが、金融政策公庫に提出する書類の書き方指導をしてくれたり、予約などの段取りまで丁寧にやってくれることもあります。商工会議所への入会はお願いされますが、それ以上の料金はかかりません。そういう担当者に出会えなかった時は行政書士にもご相談いただけます。

また、自己資金でなんとかしたい、借金は嫌だ、怖い、と思われる人も多いなぁと思います。私は自己資金があったとしても、融資を受けることをお勧めします。

福祉サービスの報酬は、月末に締めたものを翌月10日までに請求します。入金はその翌月15日なので、初めの2.5ヶ月は全く収入がありません。

家賃、人件費、などの運営費は最低でも3ヶ月、初め利用者さんゼロからスタートする場合は最低でも5、6か月分を持っておかないと資金がショートします。

融資というのは始める時に計画を立てて借りる方が断然借りやすいです。資金がショートしてからでは借りることはできません。また、借りたものをきちんと返せばそれが信用になり本当に困った時など、借りやすさが全く違います。 

STEP.9 協力医療機関との連携をしよう!

徐々に医療連携についても重要視されてきました。何かあった時、ではなく、日々の観察を含め予防のために協力することが大変大切です。
どの障がい福祉サービスでも協力医との契約書写の提出が必要になります。それを特徴にしようと考えない限り、新規で設立する段階で医療連携まで考える余裕がある人は多くないと思います。

それで「協力医療機関を探さないと!」ってなるのですが、「どうやって探したらいいの?」ってなります。障がい福祉施設をその地に立ち上げていくということは、地域の連携協力なしではできません。

スムーズだと感じる方法として、①施設近くの医療機関をピックアップ→②電話でアポ取り→③お会いして施設紹介→④連携依頼する、という流れで丁寧にお願いするのがいいと思います。

医療機関の方とお話したときに、以下のキーワードが出てきました。
・病院・診療所・救急車・救急病院・主治医

利用者さんにきていただく、住んでいただく、又は訪問する、その中で施設ができるサービスとして、どういう状況が起こりうるのか、その時の対処法は?ということをあらかじめ考えてから、依頼するとよりよいと思います。 

STEP.10 収支計画を立てよう!

施設を始めるにあたって、どれくらい利益が出るのか知るというのは大変重要な問題ですね。そんなことやったことない、、でも、大丈夫です!
料金表(正式名称:障がい福祉サービス等の報酬算定構造で検索)をネットで手に入れます。『障がい福祉_報酬算定』と検索します。こんな表紙。自分のやりたいサービスのページを確認して開きます。 

(例)就労継続支援B型
まずは、7.5:1 工賃 5,000円以下 平均工賃が1万円以下¥を見ましょう。566単位とあります。これが報酬の単位です。次に自分の施設の地域が何級地なのか、確認します。例えば大阪市の場合、2級地です。2級地で就労継続支援B型の場合の掛け率を確認します。『11.2』ですね。

ということで、→1人の障害者さんが、施設を利用した時、1日に566×11.2=6339.2 →6339円の収入があるということです。1日に20人来られて、月に22日の稼働があれば、月の収入は6339円×20人×22日=2,789,160円ということになります!障害者さんの利用が全くなければ、ゼロ円です。 

★支出計算をしてみる
費用の大半は人件費と地代家賃の2つです。

1. 人件費(最低額)
管理者兼サービス管理者責任者(常勤)250,000円/月
職業指導員(常勤)190,000 
生活支援員190,000円(常勤) 
生活支援員80,000円(非常勤)

2. 地代家賃
~25万円まで

人件費は、障がい者さんの登録がゼロでも、勤務が必要です。(これがキビシイ)
地代家賃もかかってくるけど経費になります。(これもキビシイ)
開所した時は、ゼロから始まることが多いです。1年かけて20人になっていくイメージです。

1ヶ月に12から13人が平均的に通ってくれた場合が、平均的に黒字になるくらいです。それまでは赤字なので、覚悟が必要ですね。計算してみてください。

何か感想がありましたらなんでもご相談くださいね。 

STEP.11 事前協議と本申請をしよう!

ここまでのステップでいろいろな準備が整いました。
指定申請準備の大部分は、事業内容が基準を満たしていること、収支計画の内容から適切な運営ができるか、サービスを行う準備が整っているかなどの確認になります。
それらの内容を全て書面に落とし込み、役所に提出して審査をしてもらいます。

この書類作業は、開所予定の3ヶ月前には完成しないまでも一度やっておくといいです。そして他の進捗に合わせて申請書類もできあがっていきます。

書類をピックアップしながら必要な内容や仕事の効率のよくなるコツをお伝えしますね。

①自分たちの必要事項の整理をする。
 必要項目として繰り返し出てくる内容は、先にエクセルの表にしておきます。
 そこを何度もチェックして正しく入力されているか確認しておきます。
 申請書にはそこからコピーペーストで張り付けていけば、繰り返し入力する必要がありませんし、間違いも防げます。

②申請書類様式をダウンロードする。
 申請書類の種類は多いと40種類くらいあります。それらをわかりやすく管理するために準備しましょう。
最初に必要書類一覧表をダウンロードしプリントアウトします。ほとんどの場合、書類ごとに番号がふってあります。ふってない時は自分でふります。
 他の申請書式をダウンロードしたらファイル名の頭にこの番号をふっていきます。
この手間をかけるだけで、後からの管理が格段にスムーズです。


③入力作業をする。
 まずは、記入例を見ながら埋められるところをコピーペーストを使って埋めていきます。わからないところは飛ばしながら全体を埋めます。(飛ばしたところは黄色や赤色などに色づけておきます。)飛ばしたところを分類して、
意味がわからないところは、ひとつずつ役所に聞いて解決しましょう。
解決が難しい時は、行政書士にご相談ください!

④運営規程を作成する。
 管轄の市又は都道府県のHPにある運営規程をベースに、施設運営について取り決めながら作成していきます。

 取り決め内容例
  ※営業時間は何時から何時にする?
  ※サービス提供時間は何時から何時にする?
  ※利用者さんの居住エリアは何市と何市何区?
   その他にも運営する決まり事を決めます。

⑤障がい者さんにどのようなサービスをするのか。。
介護サービスの長い経験者であっても、言葉で表現するのはむずかしいものです。そういう時は厚生労働省から公開されている文書を参考にするといいです。